日本臨床免疫学会会誌
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症例報告
アキレス腱付着部断裂を生じた治療抵抗性のライター症候群の一例
東 直人久野 英樹今村 史明福西 成男岡部 みか北野 将康橋本 尚明神田 ちえり西岡 亜紀関口 昌弘黒岩 孝則松井 聖岩崎 剛吉矢 晋一佐野 統
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2008 年 31 巻 2 号 p. 113-118

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抄録

  51才,男性.2006年10月末より排尿時痛を自覚.同年11月7日両アキレス腱部,両足関節,右手第3指の腫脹・疼痛,背部痛が出現した.近医でdiclofenacと抗生剤(cefcapene)で加療されたが改善せず,CRP高値(12.9 mg/dl)のため当科紹介入院となった.臨床症状,血清Chlamydia trachomatis-IgA陽性,HLA-B27陽性よりライター症候群と診断した.prednisolone (PSL) 20 mg/日で治療開始するも,CRP値は陰性化せず,PSLを30 mg/日に増量,更にmethotrexate 8 mg/週を併用した.その後,関節症状は改善したが,2007年1月12日再び両アキレス腱部痛出現.同21日歩行中踏ん張った際,著明な左アキレス腱部痛を自覚し,歩行困難となった.当院整形外科で左アキレス腱付着部断裂と診断,再建術が施行された.ライター症候群ではアキレス腱付着部炎を高率に伴うが,アキレス腱断裂を呈した報告は2例のみで,いずれも本例同様治療抵抗性である.遷延するアキレス腱付着部炎による同部の脆弱化が断裂の一因になったと考える.

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© 2008 日本臨床免疫学会
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