日本臨床免疫学会会誌
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原著
小児期発症全身性エリテマトーデスにおける二次性シェーグレン症候群合併の位置づけ
岩田 直美森 雅亮宮前 多佳子伊藤 秀一今川 智之横田 俊平
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2008 年 31 巻 3 号 p. 166-171

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抄録

  小児期発症全身性エリテマトーデス(SLE)における二次性シェーグレン症候群(SS)合併の実態について検討した.SLE34症例(男児2例,女児32例,平均発症年齢11.5±2.6才)のうち,SS関連抗体である抗SS-A/Ro抗体またはSS-B/La抗体が陽性であった20例(58.8%)に対し,厚生省(旧)シェーグレン症候群1999年改定診断基準に基づき評価した.唾液腺および涙液腺の分泌機能検査はそれぞれ5/16例(31.3%),2/15例(13.3%),口唇小唾液腺生検所見は14/17例(82.4%)で陽性で,14例(SS関連抗体陽性症例の70.0%,全症例の41.2%)がSS併発と診断された.全例自覚的乾燥症状のない無症候性SSであった.またSLE単独群,SLE+SS併発群における発症時臨床像の比較では,SLE+SS併発群で血清IgG値が有意に高く,抗U1−RNP抗体も高頻度で認められた.臨床症状では全身倦怠感がSLE+SS併発群に多い傾向がみられた.腎炎はWHO III型以上の重症型がSLE単独群の35.7%に比べSLE+SS併発群では76.9%と有意に多くみられたが,SLE disease activity index (SLEDAI)は発症時,1年後,2年後のいずれも差を認めなかった.本邦では1999年改定診断基準が公表され,外分泌腺が破壊される前段階でのSS診断が可能となったが,将来的な乾燥症状や不定愁訴などの腺外症状の出現を念頭においた経過観察にとって有用な基準と考えられた.

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© 2008 日本臨床免疫学会
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