日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
総説 特集:診療科の壁を越える共通語―IL-6を例として
CIA, EAEの病態形成におけるIL-6の役割
藤本 穣世良田 聡仲 哲治
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 31 巻 2 号 p. 78-84

詳細
抄録

  IL-6は免疫応答,炎症,造血など多様な生理機能を有しているサイトカインである.近年,IL-17Aを産生するTh17と呼ばれる新しい炎症性ヘルパーT細胞集団が,関節リウマチのマウスモデルであるcollagen induced arthritis (CIA)や多発性硬化症のマウスモデルであるexperimental autoimmune encephalomyelitis (EAE)において,病態に深く関与していることが明らかにされ注目を集めている.こうしたTh17細胞のin vitroでの初期分化にはIL-6が関与していることが証明されているが,一部IL-6非依存的なTh17分化経路の存在が示唆されており,実際の疾患におけるin vivoでのIL-6の重要性は不明である.我々は抗IL-6受容体抗体をCIAとEAEに投与することで,IL-6阻害が抗原特異的なTh17細胞の分化を抑制し,CIA及びEAEの発症を抑制することを明らかにした.これらの結果は,IL-6がin vivoにおいてもTh17細胞の分化に関与していることを示唆しており,Th17細胞が発症に関与する自己免疫疾患に対して,抗IL-6受容体抗体が有用な治療薬となる可能性を示すものと考えられる.

著者関連情報
© 2008 日本臨床免疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top