日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
原著
当科におけるリウマチ性多発筋痛症の臨床的特徴
青木 葉子岩本 雅弘簑田 清次
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 32 巻 4 号 p. 274-278

詳細
抄録

  リウマチ性多発筋痛症(polymyalgia rheumatica : PMR)は高齢者に発症する体幹近位部の上下肢帯の筋痛と朝のこわばりを呈する原因不明の炎症性疾患である.PMRは特異的な臨床所見に乏しく関節リウマチ(RA)や血管炎症候群との鑑別を要する.今回当科で診断し,治療を開始したPMR症例44例を後向きに調査した.発症時の年齢の中央値は71歳で,60歳台と70歳台が約80%を占めたが,60歳未満も3例(6.8%)存在した.性差はなかった.側頭動脈炎の合併は3例のみであった.筋痛の分布が遠位筋に及ぶ症例が15例(34%)存在した.関節炎は16例(36%)にみられ,その半数は単関節炎または少関節炎で手関節や膝関節の関節炎が多かった.血清CRPの最高値の中央値は8.18 mg/dl,リウマトイド因子と抗CCP抗体はそれぞれ2例,1例で陽性であり,抗好中球細胞質抗体(ANCA)陽性は認めなかった.血清MMP-3は女性において高い傾向があった.治療はプレドニゾロン(PSL)換算で初期用量の中央値は体重1 kg当り0.195 mg/kg/日であった.免疫抑制薬を併用した症例はなかった.治療開始後半年後の経過を確認し得た26例中,RAに診断が変更された症例はなかった.

著者関連情報
© 2009 日本臨床免疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top