日本臨床免疫学会会誌
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総説
全身性エリテマトーデスとプロテオミクスを用いた自己抗原の解析
飯塚 進子岡本 一起広畑 俊成加藤 智啓
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2009 年 32 巻 1 号 p. 43-47

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抄録

  全身性エリテマトーデスをはじめとする自己免疫性疾患の病態解明において,自己抗体とその抗原の解析は非常に重要である.近年,自己抗体及び抗原の検出と解析の手段としてプロテオミクスが用いられるようになった.プロテオミクスは遺伝子の機能産物であるタンパク質を直接,網羅的に検出する.この最新の手法はタンパク質の量的評価に加え,翻訳後修飾の有無や修飾の変化及び内部切断などによる分子量変化も検出することができる.具体的には2次元電気泳動とウェスタンブロットを組み合わせ自己抗原を検出し,質量分析で同定する.臨床検体やその他様々な組織をそのまま自己抗原のソースとしても利用することができることも利点である.今回,全身性エリテマトーデスの一病態である中枢神経ループスにおける抗原解析を含め,自己免疫性疾患へのプロテオミクスの応用につき紹介したい.

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© 2009 日本臨床免疫学会
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