日本臨床免疫学会会誌
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症例報告
結節性紅斑様皮疹部に壊死性血管炎を伴ったベーチェット病の一例
東 直人夏秋 優山西 清文近藤 宣幸岩崎 剛森本 麻衣西岡 亜紀関口 昌弘北野 将康橋本 尚明松井 聖佐野 統
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2010 年 33 巻 3 号 p. 149-153

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抄録

  25才,男性.2008年3月頃より発熱,扁桃炎を反復していた.同年10月両側睾丸腫脹・疼痛が出現し,近医受診.抗生剤治療で一時軽快したが,以降も反復した.2009年初より右眼視野内に黒色点,白色点が見えるようになり,同時期より口腔内アフタ性潰瘍,両下肢腫脹および有痛性紅斑も出現したため,同年6月当院紹介受診.睾丸腫脹は難治性副睾丸炎,眼症状は網脈絡膜炎と診断された.下肢紅斑は結節性紅斑(EN)が疑われ,同部位で皮膚生検を施行したところ,壊死性血管炎および隔壁性脂肪織炎を認めた.HLA-B51陽性も併せ,厚生省診断基準(1987年)に基づき不全型ベーチェット病(BD)と確定診断した.prednisolone 10 mg/日による加療で症状は速やかに改善した.本症例では,EN様皮疹部で病理組織学的に壊死性血管炎を認めたため,結節性多発動脈炎(PN),特に皮膚型PN(cutaneous PN)との鑑別を要したが,症状や検査所見を一元的に説明し得るのはBDと判断した.BDでは,EN様皮疹などの皮膚病変において壊死性血管炎を呈することは稀とされる.しかし,BDとPNの間には,部分的に共通する病態が存在することや,BDの中にはPN様の壊死性血管炎を呈する亜型が存在することを示唆し得る興味深い症例と考えられた.

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© 2010 日本臨床免疫学会
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