日本臨床免疫学会会誌
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総説
シェーグレン症候群の病態形成におけるM3ムスカリン作働性アセチルコリン受容体に対する自己免疫応答の解明
飯塚 麻菜若松 英松本 功坪井 洋人中村 友美松井 稔住田 孝之
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2010 年 33 巻 2 号 p. 87-91

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抄録

  シェーグレン症候群(SS)は,慢性唾液腺炎と乾燥性角結膜炎を主徴とする自己免疫疾患の一つである.病理学的には,唾液腺や涙腺などの導管,腺房周囲に著しいCD4+ T細胞を主体とする細胞浸潤が認められ,腺組織の破壊と機能障害をもたらすと考えられている.SSの自己抗原の一つとしてM3ムスカリン作働性アセチルコリン受容体(M3R)が報告されている.これまでに,SS患者において抗M3R抗体,およびM3R反応性T細胞が検出されており,M3Rに対する自己免疫応答がSSの病態に関与していることが示唆されている.
  今回我々は,マウスM3RペプチドをM3R欠損(M3R−/−)マウスに免疫し,その脾細胞をRag1欠損(Rag1−/−)マウスに移入することでSS類似の唾液腺炎を誘導した.さらに,マウスM3Rペプチドを免疫したM3R−/−マウス由来のCD3+細胞のみを移入しても,同様に唾液腺炎が誘導された.
  以上の結果より,M3Rに対する免疫応答が,SS類似の唾液腺炎を誘導することが示され,特にM3R反応性T細胞がその発症に重要であることが示唆された.

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© 2010 日本臨床免疫学会
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