日本透析医学会雑誌
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原著
透析用消毒剤としての銀イオン水の可能性
堀 秀生大橋 篤日比谷 信中井 滋原 進橋詰 英明新 典雄加藤 政雄村上 和隆鍋島 邦浩富田 亮長谷川 みどり比企 能之杉山 敏
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2008 年 41 巻 11 号 p. 771-778

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抄録

銀は安全性が高いことと抗菌スペクトルが広いことからさまざまな分野で使用されている.今回,銀イオン(Ag+)水の殺菌性を次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)と比較し,Ag+水の透析用消毒剤としての有用性を検討した.試験菌株としてPseudomonas aeruginosaEscherichia coliStaphylococcus aureusを用いて各消毒剤の最小殺菌濃度(MKC)を測定した.また,透析用水製造工程(原水,活性炭処理水,RO水),透析液ライン(Bタンク,透析液)から検出された細菌に対して各消毒剤の殺菌効果試験を行った.MKCの結果から,Ag+水はNaClOのような即効性は認められないが,長い時間作用させるとNaClOと同等の殺菌性を有することがわかった.特に透析用水製造工程で塩素消毒耐性の水棲菌の消毒についてはNaClOよりもAg+水は有効であると考えられる.また,Ag+水はグラム陰性菌以外にもグラム陽性菌に対しても殺菌力があり,NaClOに匹敵する透析用消毒剤として利用できる可能性がある.

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© 2008 一般社団法人 日本透析医学会
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