知能と情報
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原著論文
ネットワーク外部性の働く市場における顧客シェア逆転のためのプレゼント戦略の有効性-スモールワールドネットワークモデルを用いた分析-
小澤 順中山 雄司
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2010 年 22 巻 2 号 p. 178-189

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抄録

ネットワーク外部性のある市場においては,ある事業者の顧客シェアが大きくなるほど,新たな消費者にとってその事業者の価値が高くなり,市場において独占的な状況を生み出すことが多い.そのため,採用顧客の少ない導入期においてシェアが高い事業者が最終的にもシェアが高くなり,普及過程で逆転が起こりにくい.本研究では,このような市場においてシェアが低い事業者がシェアを逆転するために一部の消費者に対して無償でサービスを提供するプレゼント戦略について,シミュレーションにより分析する.分析の結果,プレゼント戦略の対象となる消費者のタイプや人数,プレゼント実施のタイミングによって,最終的に獲得できる顧客シェアが大きく異なることが示された.特に,自事業者が既に獲得している顧客とリンク関係がない新たな顧客に対してプレゼント戦略を早期に実施することで,シェア逆転の可能性が著しく高まることを確認した.

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© 2010 日本知能情報ファジィ学会
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