本研究の目的は, 患者が簡便な操作で随時, 主観的な痛みの強さを記録できる「痛み計」を開発し, 臨床における有用性を確認することである. 「痛み計」(23cm x 6cm x 2cm,160g)は, 0-10 Numeric Rating Scale (NRS)を採用した11個の押しボタンを有し, 患者が疼痛に相当する数値のボタンを押すとその数値と日時を記憶する. 「痛み計」をパソコンに接続すると, 痛みの強さをグラフとして印刷できる. 研究方法は事例検討である. 大学病院に入院中でがん性疼痛のある患者1例に14日間, 痛み計の使用を依頼した. 印刷したグラフは患者と医療スタッフに渡した. その結果, 以下の点が示唆された. 1.0-10NRSを用いたことにより, 患者は痛みを円滑に表現できた. 2.操作を簡便にしたことにより, 患者は随時, 入力できた. 3.1日の痛みの推移をグラフで出力したことは, 疼痛アセスメントに有効であった.