2006 年 1 巻 1 号 p. 301-305
癌の終末期に大腸狭窄をきたすと腸閉塞を併発し, 経口摂取不能や腹痛をきたすことが多い. われわれは切除不能な大腸悪性狭窄の5症例に対して, 大腸内視鏡下に自己拡張型金属ステントを挿入した. ステント内腫瘍増殖が2例にみられたが, 全例イレウス症状を解除することができ, 死亡するまで自力排便が可能であり, QOLの向上が得られた. ステント留置術は悪性大腸狭窄に対して, 低侵襲で有用な方法であると思われた. しかし, 大腸に対する金属ステントには, 1)保険適応外である, 2)大腸用ステントが開発されていない, 3)ステント挿入の手技が困難な場合がある, などの問題点がある.