Palliative Care Research
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消化管閉塞症例における消化管バイパス手術の意義─食事摂取改善率からの検討
根東 順子山田 達治平田 明裕上松 俊夫
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2009 年 4 巻 2 号 p. 235-239

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抄録

【背景】がんによる消化管閉塞に対して行う消化管バイパス手術は, 必ずしも十分な効果をもたらさない. そこで, バイパス手術による食事摂取の改善の程度を評価した.【対象と方法】バイパス手術後に原病死した30例で, 手術前後に食事摂取が不能であった期間および可能であった期間を調査した. 「食事摂取が不能となってから死亡するまでの期間」に対する「バイパス手術後に食事摂取が可能であった期間」の割合(食事摂取改善率とする)を算出した.【結果】食事摂取改善率の平均値は41%であった. 5%未満の症例は大腸がんにはなかったが, 胃がんは9例中1例, 膵胆道がんは12例中5例, 尿路がんは2例中1例であった.【結論】食事摂取が不能となってから死亡するまでの期間のうち, 41%の期間においてバイパス手術は食事摂取を改善した. がんの原発部位による食事摂取改善率の差異が示唆され, さらに多くの症例で手術適応を詳細に検討していく必要がある. Palliat Care Res 2009; 4(2): 235-239

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© 2009 日本緩和医療学会
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