2010 年 32 巻 5 号 p. 469-474
頸動脈エコーでプラークの可動性を確認し得た2症例を経験した.症例1は55歳女性で,胃癌の終末期で加療中に左中大脳動脈領域の脳梗塞を発症した.MRAで頸部頸動脈狭窄は認めなかったが頸動脈エコーで左内頸動脈に可動性プラークを認めた.抗血小板剤投与のみで2週間後にはプラークは消退し可動性も消失した.症例2は69歳女性で,狭心症既往があり,抗血小板剤2剤服用していた.右大脳半球に散在性の新鮮脳梗塞を生じ,MRAでは頸部頸動脈狭窄を認めなかったが頸動脈エコーで可動性プラークを認めた.抗血小板剤を追加したが症状が進行性でありCASを施行した.以後,症状の進行は認めなかった.可動性プラークはMRAでは評価できず頸動脈エコーが有用であった.可動性プラークに対する治療としては,まず薬物による保存的加療を行い,症状が進行性の場合は,外科的治療を考慮すべきと考えた.