脳卒中
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総説
脳梗塞のプロテオーム解析
鴨打 正浩吾郷 哲朗磯村 哲金谷 啓一郎粟野 秀人鈴木 一夫福田 賢治矢坂 正弘岡田 靖清原 裕佐渡島 省三北園 孝成
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2010 年 32 巻 6 号 p. 544-551

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抄録

脳梗塞は死亡,身体障害の主な原因疾患であり,社会に及ぼす影響は大きい.後遺症を減らすためには,できるだけ早く診断し,血栓溶解療法などの適切な治療を行うことが重要である.脳梗塞の診断や進行・再発,薬剤反応性の予測が血液検査により可能となれば,早期から最適な治療選択が可能となり有用と考えられる.血漿タンパク質はダイナミックレンジが広く微量タンパク質の測定は困難であったが,質量分析器の発達によりプロテオミクス技術は格段に進歩し,血漿タンパク質の網羅的なハイスループット解析が可能となっている.われわれは脳梗塞患者における血漿タンパク質の変化を経時的,網羅的に探索し,種々のタンパク質が急性期から慢性期まで変動していることを明らかにした(Research for Biomarkers in Ischemic Stroke, REBIOS).バイオインフォマティクスの手法を用いることで診断,予測マーカーを発見し,創薬ターゲットとなるタンパク質を発掘することが可能になると期待される.

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© 2010 日本脳卒中学会
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