脳卒中
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症例報告
3T-MRIが診断に有用であった片頭痛様症状を呈した後大脳動脈解離の1例
金星 匡人李 東旭金子 知香子久保 仁下地 眞哉山本 悌司片山 宗一
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2011 年 33 巻 4 号 p. 413-418

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抄録

症例は39歳女性.既往に思春期より前兆のない片頭痛発作があった.突然,嘔吐を伴う左側の激しい頭痛と視野障害を自覚した.頭部1.5T-MRIで左後大脳動脈(PCA)領域に急性期脳梗塞を認め,頭部MRAでは左PCA(P2)に不整な血管拡張像とintimal flap様所見があり,動脈解離を疑った.脳血管造影でも不整な血管拡張像を認めた.3T-MRAで左PCA(P2)の血管拡張部に明瞭なintimal flapを認め,動脈解離を確認した.発症6カ月後には神経症状,動脈解離の画像所見ともに改善していた.本症例は片頭痛発作に伴うPCA領域の脳梗塞であり,3T-MRIで動脈解離を確認した.PCAのような頭蓋内小径動脈解離において,非侵襲的に高分解能画像が得られる3T-MRIが診断や追跡に有用であった.脳動脈解離は経時的に形態が変化するため,片頭痛発作に伴う脳梗塞では発症初期にのみ動脈解離所見を認める可能性があり,脳血管造影,頭部MRIなどによる初期診断が重要と考える.

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© 2011 日本脳卒中学会
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