ウイルス
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総説
酵母を用いた動物ウイルスの研究
森川 裕子
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2006 年 56 巻 1 号 p. 9-16

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抄録

 大腸菌が原核細胞のモデルであるように,酵母は真核細胞のモデルとしてしばしば用いられる.古くから酵母は詳細に解析され,近年そのゲノムも完全解読された.高等真核細胞との類似性が高くかつ分子遺伝学や分子生物学の解析手法が応用できることから,酵母は真核細胞のモデル細胞として多用されている.こうした酵母細胞で動物ウイルスの複製が再現できることが近年明らかとなってきた.本稿では,酵母の遺伝子発現と酵母における動物ウイルスの複製を概説する.特筆すべきは,酵母における完全なウイルス複製過程の成立と酵母を用いたウイルス様粒子ワクチンの製造である.酵母を用いた近年の研究は,ウイルス複製に関与する宿主因子や宿主機構の同定を中心に展開されており,それらは酵母遺伝学の利用や酵母の全遺伝子破壊株ライブラリを用いた網羅的解析によって推進されている.

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© 2006 日本ウイルス学会
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