紙パ技協誌
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研究報文
ケナフ靭皮繊維の層状分離と各層が紙強度に与える影響
王 宇スウィナルティ・ ウイウイン藤原 新二鮫島 一彦程 舟
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2005 年 59 巻 9 号 p. 1354-1366

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抄録

ケナフ靭皮繊維は一次師部繊維と二次師部繊維からなり, 前者は1層, 後者は複数の層状に分離することができる。ここでは, 両者の分離を行い各々が紙強度に与える影響を検討した。
一次師部繊維の繊維長 (2.65-3.00 mm) は二次師部繊維 (2.25-2.60 mm) より長く, 細胞壁の厚さも厚い。二次師部繊維の層数は茎の下部の位置ほど多くなる。しかし, 二次師部繊維の各層間の繊維長の差は小さく, すべて一次繊維より短い。層状に分離して単籬した繊維の銅エチレンジアミン粘度は一次師部繊維で小さく (76-96 cP), 二次師部繊維では大きかった (121-142 cP)。
一次師部繊維の配合割合の異なる手すき紙を作成し, 紙強度への影響を検討した。その結果, 一次師部繊維の存在は紙強度には負の影響を与えていることが分かった。一次師部繊維の繊維長は二次師部繊維よりも長いものの, 粘度が低いことから, これが最も大きく紙強度に影響している可能性が高い。

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© 2005 紙パルプ技術協会
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