2005 年 59 巻 4 号 p. 559-567
近年, オフ輪印刷において特殊なゴースト現象の発生が増えている。この特殊なゴースト現象は通称デラミゴーストと呼ばれ, ブランケットシリンダーへ用紙が付着する形の走行不良がインキの転写不良を起こし, ゴーストとなって現れるものと推測されている。印刷機が高速化, 用紙が高品位化するほど発生しやすくなるため, 印刷作業性や印刷品質を損なわない防止法の開発が期待されている。しかし, 用紙が本現象に与える影響については系統だって調べられていなかった。本報では用紙要因の確認を目的として, 種々の物性を持たせた印刷用紙を用いてデラミゴーストとの相関関係を詳細に解析した。
その結果, 平滑性, 特に圧力下での平滑性 (プリント・サーフ表面粗さ) がデラミゴースト発生度との相関が強く, 平滑な用紙はブランケットロールへの付着を促進するためと考えられる。またプリント・サーフ表面粗さが同程度の場合はインキセット性が相関が強く, これはインキセットが速いものはインキの転写不良を起こしにくいためと考えられる。これらの結果は, 従来言われていたデラミゴーストの発生機構の正しさを裏付けている。