紙パ技協誌
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一般講演
オンライン繊維配向制御の開発
―PPC用紙のカール品質の向上―
弥冨 秀徳藤山 道博山辺 義貞山本 准司轟 英伸小野 克正越智 隆佐々木 尚史佐野 博文
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2009 年 63 巻 1 号 p. 66-69

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抄録

これまでPPC用紙における繊維配向の調整は,オンラインやオフラインの繊維配向計の測定結果を基に熟練オペレーターの経験や感覚により操業条件や各アクチュエーターなどを調整していた。特に,オフラインの測定結果を用いる場合には,サンプリングから測定,その後のマシン条件の調整までのタイムラグがあるために迅速な対応は困難であった。
今回,我々は横河電機(株)と共に繊維配向角を整えるための新しい自動制御システムの共同開発に成功した。このシステムは,オンライン繊維配向計のデータを基に,ヘッドボックスのスライスリップアクチュエーターとエッジフローバルブをフィードバック制御させることで,表面と裏面の配向角差を極小化することができる。また,スライスリップアクチュエーターの状態変化に伴う坪量等の幅方向プロファイルの乱れを修正することができる。
2007年から実機において本システムの有効性と安定性を確認するためにフィールドテストを実施した。その結果,これまで抄出し直後や銘柄変更の際に,オペレーターが繊維配向角プロファイルを収束させるのに約1~2時間要していたのに対し,本システムを導入することでオペレーターによる操作の介入が皆無となり,プロファイルの収束時間も大幅に短縮することができた。さらに,連続的に制御させることによりねじれカールの小さいPPC用紙を安定的に生産することが可能となった。

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© 2009 紙パルプ技術協会
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