化学工学論文集
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移動現象,流体工学
流体密度の温度・圧力依存性を考慮した気液二相流の数値解法
島田 直樹冨山 明男
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2005 年 31 巻 1 号 p. 15-24

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抄録

著者らが開発した(N+2)-field modelを圧縮性混相熱流動解析用に修正し,各相密度の温度,圧力依存性を考慮できる数値解法をTomiyamaらが提示した解法を基に構成した.本数値解法は非圧縮流れ解法の枠内で構成でき,エネルギー保存式は分離して解ける.さらに,時間刻み幅に対する制約はCourant条件であるため,圧縮性流れ用の数値解法よりも大きな時間刻み幅を用いて安定に計算を実施できる.
構築した計算手法の妥当性を検証するため,三つの計算を実施した.はじめに,密度の圧力依存性を考慮した本解法の性能を検証するため,大きな静水圧差下の気泡流を計算した.計算結果から,提案した解法が気相密度低下による気相体積流束の増加を良好に予測できることを確認した.次に,ダクト壁面から流体を加熱した際の気泡流を計算し,圧力に加えて温度の変化が体積流束に及ぼす影響を検証した.これらの計算結果から,提案した解法が密度変化による気液各相体積流束の変化を良好に予測できることを確認した.最後に工業装置の計算例として,気泡塔を計算した.提案した手法により,計算時間の膨大な増加を回避しつつ,塔の性能評価に必要な各種変数(気泡径,ボイド率,流速,温度など)の計算に密度の温度・圧力依存性が考慮できることを確認した.

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© 2005 公益社団法人 化学工学会
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