日本東洋医学雑誌
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臨床報告
神経因性膀胱に対し半夏白朮天麻湯が著効した1症例
橋本 すみれ関矢 信康笠原 裕司島田 博文木俣 有美子奥見 裕邦小川 恵子来村 昌紀大野 賢二平崎 能郎地野 充時並木 隆雄寺澤 捷年
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2009 年 60 巻 6 号 p. 607-610

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抄録

神経因性膀胱による排尿障害に対し半夏白朮天麻湯が有効であった症例を経験した。症例は71歳男性。排尿障害があり,泌尿器科にて弛緩性神経因性膀胱の診断の下,自己導尿と内服薬にて加療されていたが改善が認められなかった。気虚,水滞,気鬱を目標に半夏白朮天麻湯を使用したところ,排尿障害が著明に改善し,自己導尿から離脱し,西洋薬を中止することができた。神経因性膀胱に対する漢方治療は,補腎剤や利水剤,駆瘀血剤などが処方される症例が多いが,気虚,水滞を伴う排尿障害では半夏白朮天麻湯が有効である可能性が示された。

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© 2009 一般社団法人 日本東洋医学会
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