神経因性膀胱による排尿障害に対し半夏白朮天麻湯が有効であった症例を経験した。症例は71歳男性。排尿障害があり,泌尿器科にて弛緩性神経因性膀胱の診断の下,自己導尿と内服薬にて加療されていたが改善が認められなかった。気虚,水滞,気鬱を目標に半夏白朮天麻湯を使用したところ,排尿障害が著明に改善し,自己導尿から離脱し,西洋薬を中止することができた。神経因性膀胱に対する漢方治療は,補腎剤や利水剤,駆瘀血剤などが処方される症例が多いが,気虚,水滞を伴う排尿障害では半夏白朮天麻湯が有効である可能性が示された。