日本東洋医学雑誌
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臨床報告
和漢薬治療が奏効したWells'症候群の一症例
地野 充時関矢 信康大野 賢二平崎 能郎笠原 裕司並木 隆雄寺澤 捷年
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2010 年 61 巻 1 号 p. 45-50

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抄録

Wells'症候群は四肢や体幹に孤立性あるいは多発性の蜂窩織炎様皮疹を生じる原因不明の疾患である。本症は副腎皮質ステロイド剤等で対症的に治療されるが,寛解と再発を繰り返すことも多い。症例は8歳男子。2001年に四肢に皮疹が出現し,2002年に病理組織学的検査によりWells'症候群と診断され,副腎皮質ステロイド剤などで治療されていた。2007年1月頃から皮疹が増悪し,同年5月当科初診。荊芥連翹湯を処方しやや改善が見られたが,その後増悪を認めたため同年6月に十味敗毒湯に転方。皮疹の改善を認めていたが,同年11月から皮膚乾燥を認めるようになったため,荊芥連翹湯を併用。これにより,皮膚の状態は安定し,現在まで経過良好である。我々が検索した範囲では和漢薬を用いた本症の治療報告は認められない。本症の治療として和漢薬治療が選択肢となることを示唆する症例と考えられた。

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© 2010 一般社団法人 日本東洋医学会
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