日本東洋医学雑誌
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原著
大陥胸湯と大陥胸丸料の適応に関する考察
伊藤 隆菅生 昌高千々岩 武陽島田 博文海老澤 茂深谷 良小竹 源紀小澤 友明青柳 晴彦仙田 晶子島津 健吾
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2011 年 62 巻 4 号 p. 537-547

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抄録

大陥胸湯と大陥胸丸料の現代における適応について検討した。頸,肩,背部に難治性のこりを自覚する33例に対して,いずれかの方剤を投与した。24例は4週以上服薬できたが(長期群),9例は中断した(中断群)。長期群においては14例(58%)で主訴の改善を認めた。有用であった方剤は大陥胸湯13例,大陥胸丸料1例であった。長期群の特徴は中断9例に比較して,BMIがより大きく,腹力はより強く,心下鞕陽性例が多かった。甘遂末投与量は長期群0.81g,中断群0.57gと有意差を認めた。副作用は嘔気18例,下痢6例を含む24例(73%)27件で,両群に差はなく,甘遂の中止,減量によりただちに軽快した。
改善例の中で,肩背のこり疼痛を主訴とする2例,身体表現性障害,うつ病,痙性斜頸,胃食道逆流症各1例の経過を記した。大陥胸湯と大陥胸丸料は,頸,肩,背部の強いこりを有する症例には,より広く用いられて良いと考えられた。

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© 2011 一般社団法人 日本東洋医学会
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