2005 年 46 巻 4 号 p. 215-223
70歳男性. 1999年にS4の肝細胞癌に対する肝部分切除を受けた. 以後経過良好であったが, 2001年6月にS5に径2cmの再発を指摘された. 肝動脈化学塞栓療法 (transcatheter arterial chemoembolization : TACE) を施行するも効果不十分であり, 経皮的ラジオ波熱焼灼治療 (percutaneous radiofrequency ablation : PRFA) にて追加治療を行った. 十分な治療壊死範囲を得ることができたと判断し治療は終了した. しかし, 術後2カ月目のダイナミックCTにて治療部周囲に淡い濃染像を認めた. さらに治療後5カ月目には肝外へ突出するように急速な増大を示し, 腫瘍マーカも急上昇した. TACEにて加療を行い, その後腫瘍は著明に縮小し, 腫瘍マーカも正常範囲まで低下した. 2004年2月現在, 治療部位の再発を認めることなく経過している. 同様の報告例の多くは不幸な転帰をとっているが, 幸いにもTACEが奏効し現在も生存中である. PRFA後に短期間で急速な再発進展を来し, 治療としてTACEが奏効した症例を経験したので報告した.