肝臓
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症例報告
血行動態の解析によりEVL併用EISが有効であった出血性直腸静脈瘤の1例
古山 準一本城 信吾森園 竜太郎森田 康太郎代田 充長谷川 公範内沢 政英水尾 仁志河上 彩恵高木 秀雄
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2010 年 51 巻 2 号 p. 84-91

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抄録

症例は,75歳,男性.C型肝硬変症,肝細胞癌(HCC)にて当院通院中.2008年3月より血便を生じ,下部消化管内視鏡検査にて出血性直腸静脈瘤と診断.2008年7月HCCの治療目的にて入院.HCC治療時の上腸間膜動脈・脾動脈造影門脈相では遠肝性側副血行路は認めず,下腸間膜動脈造影にて下腸間膜動脈は直腸壁を造影し,その後排血路の一部として直腸静脈瘤が造影され下腸間膜静脈より脾静脈へと排血されていた.その後,直腸静脈瘤に対して内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)・硬化療法(EIS)併用療法を施行.直腸静脈瘤の口側端で,腸管壁外へ流出すると考えられた部位へEVL施行後,透視下でEISを施行.その後,造影CTにて直腸静脈瘤の血流は消失した.本症例は,血管造影にて直腸静脈瘤の血行動態を把握後にEVL・EIS併用療法を施行する事によって安全に治療しえた1例であったので報告する.

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© 2010 一般社団法人 日本肝臓学会
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