2011 年 52 巻 12 号 p. 777-783
症例は72歳,男性.2003年肝細胞癌初発し,RFAを施行.以後,再発癌に対し,TACEやRFAを行ってきたが,2009年1月肺転移,胸壁転移が出現した.全身化学療法を含む集学的治療を行うも奏功せず,2010年4月3日よりsorafenib 800 mg/dayを導入した.副作用として,手足皮膚反応や下痢,倦怠感が出現したため,適宜,減量,休薬にて投与量の調節を行い,11月30日よりsorafenib 400 mg/dayを投与継続中で,副作用も自制内であった.2011年1月4日,急性腹症にて救急外来受診,CTにて骨盤内にfree airを認め,腸管穿孔と診断,S状結腸切除および人工肛門造設術を施行した.術後,合併症無く経過している.肝細胞癌に対するsorafenib内服中に消化管穿孔を合併した症例を経験したので報告する.