肝臓
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症例報告
ダウン症候群を合併したC型慢性肝炎にインターフェロン治療でウイルス学的著効が得られた1例
松田 隼弥古川 慎哉横本 祐希阿部 陽介高木 康平垣生 恭佑木阪 吉保徳本 良雄眞柴 寿枝廣岡 昌史阿部 雅則日浅 陽一恩地 森一
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2012 年 53 巻 4 号 p. 201-205

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抄録

症例は25歳 女性.ダウン症候群と診断され,幼少期に心室中隔欠損症術を受けた際に輸血あり.20歳時にC型肝炎ウイルス(HCV)の感染を指摘された.肝機能異常あり,HCV genotype 2a,ウイルス量3.2 logIU/ml であった.インターフェロン適応ありと判断し,ペグインターフェロンα-2aを投与した.しかし白血球減少症を来し,以後インターフェロンβに切り替え投与した.その後合併症なく治療を完遂し,HCV-RNA陰性化およびトランスアミナーゼ正常化が得られた.ダウン症候群合併C型肝炎では,インターフェロンによるウイルス学的著効が得られる症例は稀とされている.また精神的な副作用を予測し難いため,治療をためらう事例も多い.しかし近年,ダウン症候群の余命は延長し,C型肝炎合併例では肝炎が予後を左右する場合もある.本症例は,ウイルス側および宿主側に著効し易い素因を持ち,かつインターフェロンβによる治療完遂が可能であった.この様な症例では積極的な抗ウイルス療法を考慮する必要がある.

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© 2012 一般社団法人 日本肝臓学会
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