北関東医学
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症例報告
震災を契機に発症した重症全結腸型潰瘍性大腸炎の1例
岡部 敏夫大矢 敏裕坂本 輝彦松本 広志倉林 誠高橋 憲史家里 裕横森 忠紘竹吉 泉大和田 進森下 靖雄
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2006 年 56 巻 2 号 p. 149-153

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抄録

 新潟県中越地震を契機に発症した重症全結腸型潰瘍性大腸炎の1例を経験したので報告する. 症例は42歳の女性で, 2003年の検診で便潜血が陽性となったが, 大腸内視鏡検査では異常なかった. 2004年10月23日の新潟県中越地震後より下痢が続いていた. 症状が改善しないため近医を受診し, 諸治療を受けるも下痢が改善せず, 発熱, 血便が加わったため, 当科紹介となった. 大腸内視鏡検査で, 直腸から連続する出血を伴った深掘れ潰瘍が判明し, 全身症状, 血液生化学検査所見から重症全結腸型潰瘍性大腸炎の活動期と診断した. prednisolone静注, 5-aminosalicylic acidの内服とgranulocytapheresis (以下, GCAP) で治療を開始した. 発熱や腹痛は徐々に改善したが, 下血は続き, GCAP 1クール終了した時点の大腸内視鏡検査所見の改善は乏しかった. 手術も考慮したが, GCAP2クール目にazathioprineを併用したところ寛解となった. 2005年9月より職場に復帰し, 現在は通院加療中である.

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© 2006 北関東医学会
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