症例は38歳, 男性. 主訴 : 発熱, 構音障害. 2010年6月初旬から発熱と感冒症状を認め, 同月中旬に構音障害が出現し近医を受診した. 受診時, 胸部X線写真で右下肺野に浸潤影を認めた. レジオネラ尿中抗原は陰性であったが, 入浴施設職員であったことからレジオネラ肺炎が疑われ同院へ入院した. 翌日, 急激な意識障害と呼吸状態悪化のため当院へ転院となった. ヒメネス染色やレジオネラ尿中抗原は陰性であったがレジオネラ肺炎を疑いシプロフロキサシン (Ciprofloxacin ; CPFX) の投与を行った. 経過中に喀痰培養にてレジオネラ血清型2が検出されレジオネラ肺炎と診断した. CPFX600mg/dayにより治療を開始したが効果が得られず1200mg/dayに増量を行ったところ症状は改善した. CPFXの投与法としては十分な抗菌効果から考えるとAUC (area under the curve) とCmax (maximum concentration) を指標とすることが重要である. 日本での用量設定は海外の用量設定に比べ少なめであり本例のような治療効果の乏しい例にはCPFX増量の検討が必要と考える.