2-フェニルピリジン骨格を有する配位子のイリジウム(III)錯体(Ir 錯体)は高い内部量子効率をもつリン光性材料であることから高効率の有機 EL 材料のひとつである.本研究では,2-フェニルピリジンにアルキル基やシアノ基およびフッ素基を導入した 3 種の配位子をそれぞれもつ Ir 錯体をネマチック液晶 5CB に分散させ,液晶相を発光層とする種々の液晶・有機 EL 素子を作製してそれらの発光特性について検討した.2-フェニルピリジンの両末端にシアノ基とアルキル基を導入した配位子はスメクチック液晶性を示し,その Ir 錯体は 5CB のネマチック/等方相転移温度を比較的低下させずに分散できた.さらに発光波長の異なる 2 種の錯体を 5CB にブレンドした素子において,短波長発光する錯体から長波長発光する錯体へのエネルギー移動が起こり,発光特性が向上することを見いだした.