医学教育
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原著-探索的研究
臨床医を対象とした臨床研究への関心および教育のあり方についての調査 中堅臨床医の臨床研究への関心は高いか?
三品 浩基横山 葉子川上 浩司福原 俊一
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2009 年 40 巻 2 号 p. 105-112

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抄録

【背景】わが国の臨床研究者の不足は深刻であり,臨床研究を実施できる臨床医の育成は医学教育の重要課題である.臨床研究基盤整備を目的とした臨床研究者養成のための教育が始められつつあるが,臨床研究の中心的役割を担うべき臨床医の臨床研究実施への関心度および教育へのニーズはこれまで明らかにされていない.
1) 臨床研究の実施および教育に対する臨床医の関心度を調査することを目的とし,インターネット上での横断的アンケート調査を行った.
2) 30歳以上45歳未満の臨床医2176人に調査依頼メールを送付し310人(回答割合14.6%)より回答を得た.回答者のうち臨床研究実施に関心をもつ臨床医は85%,教育の受講希望者は78%であった.
3) 教育は臨床研修修了後に教育セミナーや研修の受講生として受講したいとの意見が多く,ある程度の臨床経験を得た後,臨床医の仕事を中断することなく学べる教育環境が望まれている.
4) 学位(博士)取得希望者に教育の受講希望が多い(90%)傾向であったが,学位取得に興味がない医師の受講希望も76%と多く,また既に学位がある医師の受講希望も74%と多かった.
5) 臨床研究の教育は大学院教育を軸に,学位取得希望が無い臨床医にも教育プログラムが柔軟に提供される教育システムが臨床医にとって望ましいと考える.

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© 2009 日本医学教育学会
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