Papers in Meteorology and Geophysics
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JAL旅客機観測における新フラスコ採取装置で得られた大気中の二酸化炭素測定値の評価
松枝 秀和町田 敏暢澤 庸介中川 由紀夫廣谷 和生池田 肇近藤 直人後藤 啓太
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2008 年 59 巻 p. 1-17

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抄録

   2005年12月以降、新しい空気採取装置(ASE)を利用して、オーストラリアと日本を結ぶJALの旅客機によって西部太平洋上の高度約10kmにおける大気中二酸化炭素(CO2)の測定結果を収集した。ASEで観測されたCO2は、同じフライトで観測した二酸化炭素連続測定装置(CME)の結果と非常に良く一致していた。また、ASEのデータは高時間分解能を持つCMEのデータに比べて観測密度が粗いが、両データとも、北緯30度から南緯30度までを5度間隔で分割した緯度帯平均のCO2濃度は、近い値を示した。JAL旅客機による新旧観測において一貫したデータセットを作成するために、気象研究所と国立環境研究所で使用しているCO2標準ガスのスケールを比較した。新観測で得られたCO2のデータには明瞭な季節変化と増加傾向が見られ、それらは、過去12年間の旧観測で得られたCO2変動の気候値の外挿から再現された変動とほぼ一致していた。特に、新観測において、長期的トレンドを除去した季節変動の緯度帯変化は、旧観測の気候値から得られるものと極めて良く類似していた。これらの結果から、JAL旅客機による新旧の観測データが一貫した連続性を保っていることが示された。

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© 2008 気象庁気象研究所
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