日本化学会誌(化学と工業化学)
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一般論文
ブラジル産砂糖きびバカスを原料とした多孔性炭化物質の製造とその性状
夏 嘉安野田 清若尾 法昭香川 詔士
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2000 年 2000 巻 4 号 p. 273-280

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抄録

ブラジル産の砂糖きびを圧搾した後の廃棄物(バガス)の表面には約8×10-7mの小孔が存在することを明らかにした。このバガスを窒素気流中で加熱炭化することによって,吸着能力を有する多孔性炭化物質が得られることとバガスに含有する水分が賦活作用をもつことを見いだした。炭化の条件を炭化物質の表面形態,比表面積および吸着能で評価し,バガスの含有水分の影響は,収率と比表面積の積であるYSと炭化物質の収率であるYとの賦活曲線でも評価した。
その結果,バガスの小孔は炭化温度973Kまで増加した。昇温速度10K/min,炭化温度1273Kで得られた炭化物質は比表面積611×103m2/kg,ヨウ素吸着量960×10-3kg/kg,メチレンブルー吸着量52×10-3m3/kgの吸着能を持つことがわかった。次に,バガスの含有水分量を200%としたとき,昇温速度10K/min,炭化温度1173Kまたは昇温速度5K/min,炭化温度1273Kの条件で,炭化時間は共に所定炭化温度到達時間までとすることによって,比表面積967-1055×103m2/kgの炭化物質が得られた。さらに,この炭化物質のベンゼン蒸気吸着等温線の測定結果は,賦活炭の曲線形状と同じで,Langmuir平衡式で整理できることを見いだした。バガスに所定量の水を含浸させて窒素気流中で炭化することによって賦活炭と同等の吸着機構を持つ炭化物質が得られることを明らかにした。

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© 2000 The Chemical Society of Japan
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