1988 年 50 巻 5 号 p. 871-874
25才女子。リドメックス軟膏とケラチナミン軟膏の等量混合軟膏を外用していたアトピー性皮膚炎の症例において, その露光部に一致して細い斑状の色素沈着を生じた。かかる皮膚変化は, 重症の成人型アトピー性皮膚炎の患者の頸部にみられるポイキロデルマ様皮膚変化に臨床像および組織像が類似していた。外用剤によるパッチテスト, 光パッチテストの結果, 色素沈着はリドメックス軟膏と紫外線による光接触皮膚炎であると考えられた。したがつて, 本症例の皮膚変化は, アトピー性皮膚炎患者の頸部にみられるポイキロデルマ様皮膚変化の発症機序を理解する上での一つの可能性を示唆する所見と思われる。