西日本皮膚科
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症例
乳幼児重傷熱傷の2例
師井 洋一谷崎 泰象小野 まり子和田 秀敏佐多 竹良財津 昭憲
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ジャーナル 認証あり

1990 年 52 巻 5 号 p. 890-895

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抄録

1歳男児, 2歳男児の2例の乳幼児重症熱傷を経験した。症例1は頭部と四肢を除く全身に約60%の深達性II度熱傷を受傷した。Baxter法に準じて初期輸液を行つたが, 受傷30時間後に低血糖発作をきたした。さらに, 敗血症に伴う汎血球減少症とDICにより, 受傷5日目に死亡した。血液培養により検出されたのは大腸菌, 腸球菌などで, 広範囲熱傷および汎血球減少症の状況下において増殖した常在菌による内因性エンドトキシンショックが関与している可能性が示唆され, このことが, 低血糖発作にも関連していると考えられた。症例2は頭部を除く全身に約80%の浅達性II度熱傷を受傷した。初期の熱傷ショック期から第1回の植皮術までは順調な経過を示していたが, 受傷26日に突然, 肺水腫を併発した。原因を検討したところ, 患児が好んで摂取していたりんごジュースにかなりの量のNaが含まれていることや, 味付けのりやカップラーメンなど塩辛いものばかり摂つていたことが判明した。これらの食物や水分の摂取を禁止, 制限したところ, その後は肺水腫を合併することなく経過良好であつた。

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© 1990 日本皮膚科学会西部支部
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