西日本皮膚科
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症例
全身性強皮症患者に生じたANCA関連血管炎性腎障害の1例
 
柴田 章貴早川 彰紀満間 照之
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2010 年 72 巻 1 号 p. 6-10

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抄録

55歳,女性。1992年より息切れ,2000年よりレイノー症状および手指の硬化を認め,全身性強皮症および間質性肺炎として当科にて通院治療していた。2007年5月頃より貧血・腎障害が出現し徐々に進行していった。自覚症状も増悪し8月下旬になって貧血・腎障害がさらに進行したため精査目的にて9月1日入院となった。MPO-ANCA>500EUおよび腎生検の結果では半月体の形成を認めたためANCA関連血管炎性腎障害と診断した。ステロイドパルス療法にてMPO-ANCA値の減少と腎機能の改善を認めた。以降プレドニゾロンを漸減しているが症状の増悪は認めていない。罹病期間が長い全身性強皮症の経過中に正常血圧の腎機能低下,血痰,呼吸困難,紫斑などの症状がみられた場合にはANCAを測定することが推奨される。また間質性肺炎が数ヵ月から数年間持続している症例においてもANCA関連腎障害をきたす場合がある。間質性肺炎症例で,発熱,紫斑など血管炎を示す所見や腎炎を示す尿異常出現の際はANCA関連血管炎を念頭に置いて検査することが推奨されている。

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© 2010 日本皮膚科学会西部支部
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