西日本皮膚科
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症例
クリオグロブリン血症性紫斑から濾胞性リンパ腫の診断に至った1例
寺石 美香三好 研佐野 栄紀池田 光徳大畑 雅典
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2012 年 74 巻 1 号 p. 22-26

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抄録

45歳,女性。初診の3ヵ月前より両下腿に紅斑,紫斑,潰瘍が出現した。初診時,両下腿および内足縁に網状の紅斑,紫斑が散在し,一部に痂皮を付着する潰瘍を認めた。病理組織では真皮全層に小血管が増生し,内腔は拡張して好酸性無構造物質による閉塞像を認めた。臨床検査から単クローン性のI型クリオグロブリン血症による末梢循環障害および皮膚潰瘍と診断した。更に,骨髄およびリンパ節に濾胞構造と,IgM(+),λ(+)の大型のリンパ球を認め,濾胞性リンパ腫と診断した。化学療法によるリンパ腫の寛解に伴って,血中のクリオグロブリンは消失し,皮疹は軽快した。

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© 2012 日本皮膚科学会西部支部
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