整形外科と災害外科
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肩甲骨棘上窩に発生したガングリオンによる肩甲上神経麻痺に対し鏡視下に自己フィブリン糊注入療法を行った1例
仲摩 憲次郎後藤 昌史光井 康博伊藤 伸一石橋 裕美子鈴木 律樋口 富士男永田 見生
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2009 年 58 巻 2 号 p. 224-227

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抄録

ガングリオンによる肩甲上神経麻痺は比較的まれな疾患で従来,穿刺や観血的摘出術が主に行われ,最近では関節鏡による摘出・除圧術も報告されている.今回我々は,肩甲骨棘上窩に発生したガングリオンによる肩甲上神経麻痺に対し,鏡視下に自己フィブリン糊注入療法を行った1例を経験したので報告する.症例は26歳の女性で,3カ月前より右肩痛が出現し,MRIで棘上窩に嚢腫様陰影を認め,ガングリオンによる肩甲上神経麻痺が疑われ当科紹介受診となった.棘下筋の萎縮を認め,肩外旋筋力は低下していた.まずエコーガイド下に穿刺後,ステロイド注入を行ったが3カ月後にガングリオンが再発した.次に関節鏡視下にガングリオンを穿刺・吸引し,自己血より作成したフィブリン糊を注入した.術後3カ月で可動域と筋力は回復し,術後3年で再発を認めず経過良好である.肩甲上神経麻痺を来したガングリオンに対し,自己フィブリン糊注入療法は比較的安全で有効な治療法と考えられた.

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© 2009 西日本整形・災害外科学会
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