整形外科と災害外科
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線維軟骨化生を伴った膝関節内脂肪腫の一例
中村 孝幸薬師寺 俊剛佐藤 広生岡 潔徳永 琢也水田 博志
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2010 年 59 巻 4 号 p. 822-825

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抄録

【症例】54歳,女性.誘因なく右膝部の腫瘤が出現し,増大傾向を認めたため当科受診した.初診時は右膝蓋骨遠位外側に径7×5 cm,弾性軟の腫瘤を触知した.圧痛および局所熱感はなく,右膝の可動域制限も認めなかった.MRIにおいて病変は,T1WI,T2WIともに均一な高信号を呈し,脂肪抑制にて抑制され,またT1WIで低信号,T2WIで等信号を呈する領域も有しており,右膝関節内脂肪腫を疑い,関節包を開放し腫瘍辺縁切除術を施行した.病変は膝蓋下脂肪体よりfeederを得ており,周囲との癒着は認めず一塊として摘出可能であった.腫瘍は被膜に覆われ,組織学的に成熟脂肪細胞と線維軟骨から構成されており,線維軟骨化生を伴う膝関節内脂肪腫と診断した.【まとめ】脂肪腫の関節内発生は稀であるが,特に自験例のように軟骨化生を伴った報告は過去に数例のみであり,稀な症例といえる.

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© 2010 西日本整形・災害外科学会
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