整形外科と災害外科
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石灰沈着性腱板炎における沈着部位の検討
朝倉 透松浦 恒明進 訓央大江 健次郎
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2011 年 60 巻 2 号 p. 298-302

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抄録

石灰沈着性腱板炎の好発部位については,古くは棘上筋腱であるとされてきた.今日の解剖学的な新たな知見では,棘下筋が棘上筋を乗り越えてsuperior facetまで達していることが指摘されている.こうした背景の中で,今回我々は石灰沈着の発生部位についてMRIを用いた定量的な検討を行った.骨頭中心を起点として結節間溝と石灰の中心とのなす角を石灰位置角と定義した.この角度の平均は49.5±16.5度であった.
一方,superior facetとmiddle facetとの境界線は,結節間溝から45.4度外旋した位置にあることはすでに報告されている.この部位は,大結節表面が頭側に向けて鈍角を形成するため,腱板には力学的ストレスが生じやすい.2つの角度が互いに近い数値を示したことから,石灰沈着の好発部位は,superior facetとmiddle facetとの境界線と一致するのではないかと推察された.また棘下筋に石灰沈着が生ずる例も多いのではないかと考えられた.

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© 2011 西日本整形・災害外科学会
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