2007 年 104 巻 9 号 p. 1365-1370
症例は58歳男性.肝,肺転移をともなった進行直腸癌に対する術後化学療法目的で入院後,握力低下,両上肢の挙上障害,下肢の筋委縮,筋力低下などの運動ニューロン徴候が出現し筋電図で多相性高振幅電位を認めたことからALSと診断した.直腸癌に対しては,化学療法が奏効したが最終的にALSの進行による肺炎で死亡した.ALSには傍腫瘍神経症候群と考えられる一群が報告されているが,本例に合併したALSについては経過などから傍腫瘍神経症候群である可能性も否定できないと考えられた.