2008 年 105 巻 1 号 p. 26-30
膵癌の診断は集団検診の効率が悪いために,高リスク群の設定が重要である.高リスク群には慢性膵炎,糖尿病,膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN),遺伝性膵癌,遺伝性慢性膵炎,家族性大腸腺腫症などがある.筆者らが糖尿病患者を一定の選別をかけてERCPによる検診を行うと,186例中17例(9.1%)に膵癌が診断された.また,IPMNでも切除107例に上皮内癌2例を含む膵癌が10例(9.4%)認められた.慢性膵炎も膵癌が多いとされるが,長期間経過観察したが発生はなかったとの報告もある.より適切な高リスク群の認識が普及すれば,膵癌といえども早期診断は不可能ではない.