2009 年 106 巻 2 号 p. 233-239
患者は69歳,女性.近医で急性膵炎と診断され,同時にUSで膵鉤部の低エコー腫瘤を指摘された.膵IPMNに起因した急性膵炎と診断され精査加療目的に紹介となった.超音波では後方エコー増強をともなうhypoechoicな腫瘤像を呈し,造影CTでは膵実質相から辺縁部が濃染し,内部は平衡相にかけ樹枝状に濃染する像を呈した.MRIはT1強調像でlow intensity, T2強調像でhigh intensityを呈し,MRCPでややhigh intensityに描出された.ERCPでは下頭枝が閉塞していた.最終病理診断は,著明な粘液結節の形成と,粘液を多量に含有する膵粘液癌であった.