日本歯周病学会会誌
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症例報告
歯列不正を伴う侵襲性歯周炎症例の長期臨床経過
森 智恵美大河内 ひろみ小出 映子山羽 京子山田 和代稲垣 幸司野口 俊英
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2007 年 49 巻 4 号 p. 316-322

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抄録

本症例は, 前歯部の歯列不正を主訴として1992年12月に来院した全身的には特記すべき既往歴のない23歳女性である。初診時歯周組織検査において, 全顎にわたる歯周組織破壊と臼歯部の咬合崩壊を伴った歯の病的移動による歯列不正がみられた。二次性咬合性外傷による歯の病的移動のため, 正中離開や臼歯部の咬合崩壊をきたした広汎型侵襲性歯周炎と診断し, 歯周基本治療をはじめた。歯周病専門医と歯科衛生士による歯周基本治療後, 深い歯周ポケットの残存する13∼17, 25∼27に歯周組織再生法を併用した歯周外科手術を行った。歯周組織の治癒後, エッジワイズ法に基づいた矯正治療を行い, 審美的, 機能的な咬合を確立した。しかし, サポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)時に14は, 抜歯に至った。1年の動的矯正治療後, 13∼15, 44∼46にブリッジを装着した。現在, 初診より約15年を経過し, SPTを継続している。初診時とSPT時(2006年2月)のアタッチメントレベルとプロービングデプス(PD)の平均およびPD4mm以上の部位は, それぞれ5.2mm, 4.5mm, 107部位(61.5%)から, 4.9mm, 2.9mm, 18部位(12.0%)と減少し維持されている。したがって, 失われた歯周組織破壊の進行抑制と矯正治療による歯列不正の改善により, 審美的にも機能的にも満足のいく治療結果が得られている。

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© 2007 特定非営利活動法人 日本歯周病学会
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