2007 年 22 巻 2 号 p. 189-193
リハビリテーションの治療において,視覚的フィードバックを利用して指導する機会は多い。今回,手指の随意運動における視覚的確認の影響について機能的MRIを用いて分析し,脳の賦活分布を検討した。運動課題を自己ペースで閉眼にて行う場合と,鏡を通して視覚的確認をしながら行う場合とを比較した。視覚的確認を行うことにより,対側感覚運動野の賦活範囲が増大する傾向が示唆された。また,後頭葉の賦活以外に,前頭葉,頭頂葉,側頭葉においても賦活が増加する傾向があり,さらに運動と同側の感覚運動野の賦活もみられる傾向があった。以上の賦活領域の拡大は,リハビリテーションにおける視覚情報の活用の有効性に関連しているのではないかと考えられた。