北海道釧路湿原東部に位置する達古武沼において2003年に動物プランクトンの出現特性を調査した。その結果,17種類の動物プランクトンが観察され,個体数ではPolyarthra vulgaris,バイオマスではFilinia longisetaが最多であった。沖部において2003年5月9日から11月18日まで隔週で季節変化を調査した結果,小型甲殻類もしくはワムシ類が優占している期間が長く,プランクトン食魚による大型甲殻類への捕食圧の高さが示唆された。2003年7月23~24日における沼内25地点の動物プランクトンの水平分布をクラスター解析した結果,大きく4つのクラスターに区分された。クラスター間の差について多重比較検定をおこなった結果,ヒシTrapa japonicaの現存量が多い地点でカイアシ類が多く,ヒシが少ない地点でワムシ類が多いという特徴が得られた。これは,カイアシ類が水草帯に隠れることによってプランクトン食魚による捕食を回避しているためだと考えられた。