臨床血液
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症例報告
血小板寒冷凝集素により偽性血小板減少症を呈した4例
倉田 義之林 悟城崎 潔小西 一郎柏木 浩和冨山 佳昭
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2006 年 47 巻 8 号 p. 781-786

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抄録

血小板寒冷凝集素による偽性血小板減少症の4例を経験した。症例1は57歳女性で血小板数は9.7万, 症例2は37歳男性で血小板数は9.6万, 症例3は74歳男性で血小板数は2.8万, 症例4は62歳女性で血小板数は3.4万, いずれの症例も抗凝固剤添加血のみならず採血直後の抗凝固剤未添加血においても血小板減少, 塗沫標本で血小板凝集像を認めた。凝集開始温度は症例1と4が10℃, 症例2は24℃であった。凝集素の免疫グロブリンクラスは症例1, 2, 4ともにIgMであった。症例1, 2ともに血小板凝集は認めたが血小板は活性化していなかった。血小板凝集素の対応抗原はGPIIb-IIIaであった。本症の確定診断には抗凝固剤未添加血での血小板減少, 凝集像の確認が重要であると考えられた。本症は非常に稀であるとされているが, 抗凝固剤による偽性血小板減少症として見逃されているのではないかと考えられた。

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© 2006 一般社団法人 日本血液学会
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