臨床血液
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症例報告
ボルテゾミブ投与によって再増悪した帯状疱疹後神経痛
切詰 和孝今滝 修新谷 高理藤原 新太郎脇 房子大上 幸子大西 宏明
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2008 年 49 巻 5 号 p. 331-334

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抄録

bortezomib投与による免疫抑制のため,bortezomib治療後12%の症例に帯状疱疹が合併することが知られている一方で,治療前の帯状疱疹の既往がbortezomib治療後の経過に影響することを示した報告はない。本症例では寛解していた帯状疱疹後の神経痛がbortezomib投与後に悪化を示した。症例は58歳男性,2006年6月発症のIgG λ型多発性骨髄腫である。MP療法とVAD療法が無効であった。2007年3月22日に帯状疱疹を発症したがvalaciclovirによる治療で治癒し,4月17日よりbortezomibを投与したところ,投与翌日から帯状疱疹発症部位の神経痛が再燃した。疼痛はbortezomib投与中止で軽快,経過中,帯状疱疹による皮疹の再燃は認められなかった。Bortezomibはウイルス感染の再燃所見を伴わず,帯状疱疹後の神経障害を悪化する可能性がある。

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© 2008 一般社団法人 日本血液学会
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