臨床血液
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症例報告
シェーグレン症候群を合併した周期性血小板減少症とその周期性機序の解析
山内 尚文村松 博士猪股 英俊沼田 隆明野澤 えり西野 雅彦小山 隆三井原 康二西里 卓次平山 眞章勝木 伸一松永 卓也新津 洋司郎
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2008 年 49 巻 8 号 p. 658-663

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抄録

症例は75歳女性。血小板数は,約14∼28日周期で,0.2×104lから22.7×104lの間で変動した。一方,乾燥症状があり,Schirmer試験陽性,小唾液腺生検で炎症性細胞の浸潤を認め,シェーグレン症候群を合併した周期性血小板減少症と診断した。PA-IgGは2,700 ng/107 cellsから228 ng/107 cellsまで変動し,血小板数と逆相関の傾向を認めた。骨髄巨核球数は,血小板減少期に著明に減少しており,CFU-Megの検討では,血小板減少期に,コロニー数の減少を認めた。血清トロンボポエチン値は,血小板減少時に高値を示し,増加期に低下した。ステロイド投与により,血小板数は15×104l以上を維持するようになり,PA-IgG値は低下した。また,乾燥症状も改善傾向がみられた。本症例における周期性変動の機序として,免疫学的機序による血小板破壊の亢進と血小板産生障害が想定された。周期性血小板減少症と自己免疫性疾患との合併はまれであり,興味深い症例と考えられた。

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© 2008 一般社団法人 日本血液学会
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