フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL)の同種造血幹細胞移植後再発は予後不良だが，長期間無病生存している症例を報告する。症例は55歳女性。Ph+ALLの第一寛解期で非血縁者間同種骨髄移植を行った。前処置はfludarabine＋melphalan, 移植片対宿主病(GVHD)予防は短期methotrexate＋cyclosporinであった。移植後はGVHDを認めず分子学的寛解を維持していたがday 871に血液学的再発と診断された。再発後はimatinib併用化学療法により再び分子学的寛解に至り，その後はimatinib単剤治療を継続した。再発期のPh+ALLでは抗癌剤やimatinibの有効性は通常一過性だが，本症例では再発後30ヶ月間無病生存中である。imatinib併用化学療法により分子学的寛解に導入した後もimatinibを継続し，その抗白血病効果と移植片対白血病効果により長期間寛解を維持できる可能性が示唆されたが，多数例での検討が必要である。
